東日本大震災から15年。ペットと暮らす家の防災を“フェーズフリー”で整える

東日本大震災から15年。ペットと暮らす家庭では、災害時の備えも大切です。
日常と非常時を分けない「フェーズフリー防災」の視点から、備蓄や避難準備のポイントを紹介します。
2026年3月11日・・・
あの日、私たちは「災害は一瞬で起こり、生活は長く揺さぶられる」ことを知りました。
停電、断水、物流の停止、避難生活。
そこに、ペットと暮らす家庭ならではの悩みが重なります。
「この子を連れて避難できるのか」
「避難所で迷惑にならないか」
「フードが切れたらどうするか」
ペットは大切な家族です。
だからこそ、防災は“特別な準備”ではなく、日々の暮らしに溶け込ませて無理なく続ける仕組みにしたい。
そこで役立つ考え方が フェーズフリー(*) です。
フェーズフリーとは、日常(平時)と非常時(災害時)を分けず、普段使いできるもの・習慣が、そのまま非常時に力を発揮するという発想です。
防災専用品を押し入れの奥にしまい込み、気づけば賞味(使用)期限切れ・・・という失敗を減らし、家計の負担も小さくできます。
ペット防災と相性抜群の“持続可能な防災”です。
まず押さえたい現実:ペット家庭は「孤立」しやすい
災害時、ペットを理由に避難所へ入りづらい、あるいは遠慮して車中泊をしたり、家にそのまま残ることを選ぶ家庭は少なくありません。
結果として、支援物資や情報の輪から外れ、心身の負担が増えやすくなります。
だからこそ、ペット防災は「物の備え」だけでなく、“つながりへの備え” が重要です。
避難ルート、受け入れ体制ルール、頼れる先、連絡手段。
ここまで含めて“家庭の防災”になります。
フェーズフリーで整える「3つの備え」
(1)食べ慣れたものを切らさない:ローリングストック
ペットにとって、食事は体調に直結します。
非常時に急にフードが変わると、下痢や食欲不振が起こりやすくなります。
おすすめは、フード・トイレ用品を「日常の買い物で回す」ローリングストックです。
- フードは「未開封を1袋(できればもう1袋)」常に上乗せ
- 常備薬(持病がある場合、できれば1か月分など上乗せ)
- ペットシーツ(または猫砂)は「いつもの+1パック」を基準に
- 新しく買ったものは奥へ置き、古いものから使う(先入先出)
“備蓄”というより、家庭内に小さなサプライチェーンを作る感覚です。
これなら無駄になりにくく、家計も守れます。
(2)「連れて動ける」を日常化:クレートは家具&防災
同行避難の成否を分けるのが、クレート(キャリー)への慣れです。
避難所や車中では、原則クレート内で過ごす時間が増えます。
フェーズフリーのコツは、クレートを“非常時だけの箱”にしないこと。
- 普段から部屋に置き、寝床として使う
- 毛布や飼い主の匂いがついたタオルを入れる
- 慣れるまでは「入るといいことがある」(おやつ等)を繰り返す
- 楽しいお出かけの移動時にも使う
“安心できる自分の部屋”になれば、災害時のストレスが大きく減ります。
しつけは防災の基本です。
(3)持ち出しは「1分で掴める」状態に:ペット防災バッグ
ローリングストック(家の備蓄)とは別に、発災直後の一次避難に備えて ペット防災バッグ を作ります。
ポイントは「完璧」より「即応」です。
- 2〜3日分のフード(小分け)と水
- 折りたたみ食器
- トイレ用品(シーツ・防臭袋等)
- 予備リード/ハーネス
- 体温調整できるブランケット、ひんやりシート
- 狂犬病予防接種、ワクチン接種などの情報(紙+スマホ保存)
- 最近の全身写真、迷子札、マイクロチップ情報、緊急連絡先
“いつもの散歩バッグ”に近づけるほど、持ち出しやすくなります。
ここもフェーズフリーです。

※フェーズフリーで整えるペット防災
防災グッズは「普段使い」ほど心強い
「完璧」より「即応」
非常時専用の物を揃える前に、日常で使えるものを見直すだけでも防災力は上がります。
- 普段は足元灯、停電時は懐中電灯になるライト
- 日常の収納ボックスを、備蓄置き場にする
- レジャーや車中泊にも使える電源・充電手段
- 普段から使う衛生用品を少し多めに
“防災のために買う”から、“暮らしを整えた結果、防災になる”へ。
これがペットと家族の非常時の暮らしを守ります。
外出時の災害に備えて、ペット情報を携帯する
飼い主が外出中に罹災したり、帰宅困難になる可能性もあります。
万が一、ペットだけが自宅に取り残された場合でも、誰かに助けてもらえるよう、「自宅にペットがいます」と書かれたカード等をスマホの画像やお財布等に保管しておくと安心です。
最後に:避難の「型」を家族で決める
ペットと暮らす防災のポイントをまとめます。
- どこへ避難するか、災害の種類(地震、台風等)別に、第一候補・第二候補を共有
- 同行避難の受け入れ条件を確認(クレート必須か、場所はどこか)
- 親戚・知人宅へ行けるか検討・依頼(連絡先、鍵、移動手段)
- 在宅避難が可能か点検、整備(倒壊リスク、断水時のトイレ、暑さ寒さ)
そして、家族の中でメインの役割を決めます。
「誰がペットを確保するか」
「誰がバッグを持つか」
「連絡は誰がするか」
一度決めておけば、災害時の混乱が減らせます。
誰かが外出をしている場合の対応も、併せて考えておくと良いでしょう。
15年の節目に、今日できる“ひとつ”だけ
3.11は、備えの大切さを思い出させてくれる日でもあります。
今日できることを、ひとつだけ。
ペット防災バッグを開いて、足りない物に丸をつける。
買うのは次の買い物のついでに、でもいい。
フェーズフリーは、続けることが大切だからです。
ペットの命を守ることは、飼い主の生活を守ることでもあります。
追悼を、これからの安心へ繋ぐ。
15年の節目に、家庭の防災を“暮らしの設計の一部”として整えていきましょう。
(*)フェーズフリーの考え方
「備え」を意識せず、大切な人を守れる社会へ。災害大国である日本において、「何を、いつ、どのくらい備えるか」という悩みは絶えません。
フェーズフリーは、身の回りにあるモノやサービスを、日常を豊かにする道具として使いながら、もしもの時にもその価値を発揮できるようデザインする概念です。
防災用品を「しまい込む」のではなく、「いつもの生活を便利にすることが、最高の備えになる」。これがフェーズフリーの本質です。
【引用元】災害に強い中小企業はこう作る ―震災15年で考えるBCPとフェーズフリー経営―
(ファミリービジネスマネジメントオフィス)
【参考】
●フェーズフリーとは(一般社団法人フェーズフリー協会)
【ペット防災関連コラム】
災害時にペットと避難するには ― 「同行避難」が命を守る
ペットと一緒に災害に備えるための簡単ガイド


